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第50回記念展エッセイ集 第13回  

私と絵画(日立OB展が終わって) -大熊 善治-

第四十九回日立OB展は無事に終わった。回を重ねるごとに自分の未熟さに目覚めながら、多くの方に頂く励ましの言葉には感謝をしている。

勤めていた頃はOB展のことも知らず、自分の油彩画を出品するなど思いもよらなかったが、定年後、自分が好きで一番やりたいことをしようと決めた以上、なるべく無理をしないで山や自然をアトリエで自分なりの風景を思いのままに一人で描いて楽しんでいた。

日立OB展に出品するようになり、作品として会場の壁に掛けた瞬間から絵の中の自分が居なくなり、私が絵の中に探し求めていたものが何か、その答えがないのに気が付く。

当番の時など先輩諸兄の絵の中に囲まれていると、いろんな声で力作が語りかけている様で気が和み、勉強にもなる。しかし足を止めてじっくりと自分の絵を見てくれたか、との心配もある。自分も楽しんで見て回ったが、批判ばかりして素っ気なく足早に通り過ぎていたのかも知れぬ。

小品も出しているが作品として誰かのお目に留まり一人歩きをしてくれればよいのだが、まだまだ、手元に残っている。

私の絵画は山に例えれば五合目にも届かないが、道が続く限り一人で登ってゆこうと思っている。そして今の作品の未完成度が次の作品を作る動機となり、次回のOB展へのプロセスになっている。

第五十回日立OB展が記念展として素晴らしい企画であり、それに向けて私の絵にもとどめを刺すことを期待している。

 

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