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美術サロン

  

私の絵画論   - 山本 衞 -

140年程前の明治初期、日本政府はイタリアの画家キヨッソーネ先生を招聘し、我が国に於ける洋画普及の幕開けが始まりました。           

私が小学校時代に校舎内で拝見した明治天皇や西郷隆盛の肖像写真は、今日まで将に写真と思っていましたが、総てキヨッソーネ氏によって非常に細かいタッチで描かれた絵画と知って驚きました。戦前まで使用されていた1円札や5円札の紙幣も同氏のデザインで描かれたものと知り、またまた吃驚しました。  

将に明治維新は、絵画にも西洋文化が大きな光を齎しました。現在では素晴らしい世界の巨匠の絵画を日本国内にある美術館で鑑賞できるし、我々が海外を訪れた折も必ずと言ってもいいくらい各国の美術館巡りを計画に入れる程です。それほど洋画を鑑賞することは大変ポピュラーなものになりました。そしてまた自ら絵を描く方々が大変多くなりました。個展、グループ展等が毎日多くのギャラリーで開催されております。

考えますと日本人は農耕民族で自然の物から作られた絵具を使用して日本画を、西欧人は狩猟民族で日常動物の肉油を食した関係上あまり気にならない臭いの強い油系の絵具を作っての油彩画。蓋し民族性からくる絵具に大変相違があることを物語っています。西欧人の油彩画歴2000年、歴史の重みを強く感じざるを得ません。しかし日本には永い歴史の素晴らしい絵画の日本画があります。自然をよく観察しての隙のない空間と色彩、場合によっては粋とか乙の風情を醸し出す等豊かな精彩さがうかがえる画法は、我々日本人に感動を与えます。最近はモチーフ等やや洋画の範疇に接近してきており、和洋折衷の日本特有の絵画フイロソフイーが生まれてきているような感がします。      

良い絵画とはどのようなものでしょうか私には偉そうなことは申し上げられませんが、絵画は美しいだけでは絵ではなく、そして上手に描くだけが目的ではないと思います。私は自分なりに座右の銘として次のように考えております。
 
1) ユニークなもの、発想豊かなもの、美しいもの。
2) 作家の訴求ポイントがはっきり解るもの。
3) 明るく爽やかなもの、躍動感のあるもの、静かで奥ゆかしいもの、感性豊かで感動が伝わるもの。
4) 色彩と画面構成の調和がとれているもの。
5) 人格や人柄が表れているもの。
6) 自然や人間心理を深く観察し、表現したもの。

と言っても人間は性格、趣味趣向様々です。色彩心理上血液の型にも影響があるようで当然絵画の好みも色々です。絵画は誰でも挑戦でき、何を描いてもどのような技法でも選択は自由です。自由だから絵画は大変難しい、だけど大変面白いのです。

 

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