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美術サロン

  

私の絵画論

切り絵思考1 - 大塚 健嗣 -

 「切り絵」を習い始めてやっと10年ほどになりました。また、昨年から日立OB美術会展他に出品して、油彩、水彩、日本画、写真等に混じって展示され、物珍しさからか、足を止めて下さり、ちょっと戸惑っておられる方に積極的に、声を掛けるようになりました。そこでの応対や、日立美術サロンで、いろいろご質問頂くことで気付くのは、「切り絵」がまだまだ馴染みの浅い、しかも、具体的な技法についてはご存知の方は、案外少ないと言うことでした。逆に見ると、自分も市民活動のサークルでちょこちょこと切って、裏から色紙を貼って、切り絵だけの美術展か、総合美術展の切り絵部門で展示され、他の切り絵作品に囲まれた、いわば温室育ちの世間知らずでした。数年前に、切り絵の参考書を漁り始めて、「切り絵は、1枚の紙を切りあげて、両端を指で摘まんで持ち上げられる1枚の紙に仕上げられたものである。」ことを初めて知り強いショックをうけました。そういわれてみれば、初期の有名な作家の作品の顔の造作は、眉毛、目、鼻、口を後れ毛や、顔の輪郭線で繋いだり顎に皺の線を入れて苦労して繋いでありました。このために、切り絵の登場人物の顔は、一種独特の風貌を呈しておりました。たとえば「小宮山逢邦」先生の作品の女性の顔はやや斜めから描かれ(切られ)見返り美人の角度となり、妙に色気の多いものが目立ちます。しかし、描く対象が多様化し、繋(台紙に張った後切取る)や、目鼻を切取っておき、台紙に張った後に、ピンセットで貼る方法が取られてきた。しかし前者は手間がかかり、繋を切取った後が汚くなり、後者は、下手をすると福笑いになってしまう恐れがあります。私は、顔の輪郭で切取り、一度顔の色の色紙を貼った後に、その色紙から目鼻を切取りそれぞれの色紙をさらに貼り仕上げることを多様しています。
 「切り絵」は、黒い紙(最近は色色の紙が使われてきましたが)カッターナイフで切って絵にしていく絵画技法です。ハサミでなくカッターナイフですから、細部の表現が可能で、ハサミで切るのと比べ、より精緻で奥行きのある「絵画」として仕上げることが出来ます。「切り絵」作品は黒と白のコントラストの妙。切り口のかもし出す、「切り絵」特有の繊細で力強い美しさが魅力であり、本来の美しさであるとおもいます。これにカラーを使って表現の巾を広げ色彩作品を味わることに発展します。
切り絵  ある人は、切り絵は本来黒と白とのコントラストの妙、切り口の鮮やかさが売りで、色付けは邪道だといいますが、これは、白黒写真とカラー写真の優劣を論ずるのと同じで、作者が、描きたい対象を表現する手段として合うのを選ぶのがよいでしょう。邪道といえば私の今の作品が、切り絵の妙、切り口の鮮やかさが下手で、色紙を多用して誤魔化しているのを指しているのでしょう。この壁をどう越していくかが私の今後の課題です。


左図は初期の作品で、色付けを、老舗の包み紙か紙バックを一面に貼り、陶器独特の味を狙ったものです。
この頃より、1度貼った茶系統の紙を、再度切る方法考え、使用するようになりました。
原画はP5号位

 

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