日立美術会
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美術サロン

  

私はこうして絵を始めた   - 毛利嘉雄 -

小岩井農場の秋景

小生の画歴は、小学3年生(終戦翌年)の時、大阪・箕面在住の日本画家・故 丸山石根画伯(京都市立絵画専門学校日本画科卒業・故 中村岳陵画伯に師事・日展の日本画部門特選2回)のアトリエに入室が許され、毎日のようにアトリエに通い、日本画と構図やデッサン等絵画の基礎をご指導頂きました。

小学校5年生の時、宝塚遊園地の写生会で、温室のガラス天井を水彩画で描き、最優秀賞を受賞し、油彩画道具一式を貰い、それ以来油彩画の魅力に取り付かれました。しかし、小中学生には油絵具用品が高価で、キャンバスも買えず、ベニア板やボードに描いたことも度々ありました。

中学・高校時代も美術部に所属して油彩画を丸山画伯や先輩にご指導頂きましたが、高校3年の夏休みに「近代デザイン運動・バウハウス」の書籍で工業デザイナーの世界を知り、工学部志望からデザイン学部志望に転換しました。

一浪覚悟で美術大学入試の1年半の受験勉強に入り、丸山画伯から入試時点までに天井に届く程のスケッチブックを使用する様にと言われました。

美大入試の為の実技試験項目と5教科のスケジュール(毎日15時間以上)を組み、石膏デッサン・クロッキー・鉛筆による静物デッサン・鉛筆による細密描写・色彩による平面イメージ構成画・日用品等のデザイン(3面設計製図と完成品スケッチ)に必死の毎日でしたが今では楽しい思い出です。

幸い一浪で京都市立美術大学(現京都市立芸術大学)の美術学部・工芸科図案専攻(20名)の工業デザインコース(6名)に合格しました。合格発表の時の感激は「天にも昇る想い!」で今でも鮮明に覚えています。

図案専攻にはグフィックデザイン・工業デザイン・インテリアデザインがあり、1・2回生はデッサン等の基礎実習、3回生からは工業デザインの課題制作で充実の2年間でした。幸いにもデザインのアルバイトやコンペ賞金で高額収入があり、級友と美大近くにアトリエを借りました。またこの時期、油彩のアブストラクト・アートの世界に魅せられたことも良い思い出です。

4回生の時に、当時の工業デザイナーにとって日本での最高レベルの毎日新聞社主催「毎日工業デザイン・コンペ」に応募初入選し、工業デザイナー 10名に選ばれました。卒業制作は新商品「温水洗浄便器のデザイン開発」で、原寸大の模型 と設計図・卒論を提出し、芸術学士として何とか卒業出来ました。

就職は、内定していた松下電器産業を断り、夏期実習で合格内定していた日立製作所デザイン研究所に入社しました。業務は家電商品の新製品開発で、アイデアを練り、スケッチやレンダリングで表現することでした。デザインの仕事は、実用目的をもつ美的造形作業で実に楽しい仕事でした。また、海外向けの商品開発も多く体験し、諸外国の文化も習得出来ました。

このように、趣味としての絵画作品制作はリタイア寸前まで遠ざかっていましたが、リタイア後「日立OB美術会」に入会し、私にとり絵は再び人生の友になりました。今後は心に残る風景や思い出を描き、活き活きとした季節感を表現し、自分の画境を創り、感動を与える作品を描きたいと念じています。
今後とも諸先輩のご指導ご教示をお願い致します。

 

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