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画廊印象記2 立見栄男展(11/27〜12/2 紀伊国屋画廊)


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1.建脇 勉会員 「立見栄男展を拝見して」

昨年すえの紀伊国屋画廊での個展を拝見して、単純写実から抜け出せない自分にとって何か示唆やヒントが得られないかと考えてみた。

各モチーフの要素は写実的であって全体として平面画である。
何故このような作品が生まれるのであろうか、私にとって全く別世界の空間であり及びもつかぬ感覚がそうさせるのであろうか。
イエローオーカの下地にしっとりとした緑の草花が装飾的に配置され、洗練されたフォルムの河童、なまず、童子、犬などひっそりと顔をだしている。伊万里や九谷の絵皿の色合いが全体と調和して気持ち良い。何処にも片意地張らずにおおらかに画面全体にひろがり癒しの景色である。

先生から若い頃は皆さんと同じような絵を描いていたと聞いていたので、如何にして平面画に飛躍されたのであろうか。以下失礼をかえりみず勝手に想像してみた。

先生の地元である牛久沼伝説に出てくる河童やなまずをモチーフとして取り上げたとしよう。これを描くに立体的よりも日本画風の平面的に描くのが自然ではなかろうか。例えば俵屋宗達等の風神、雷神図のように。これが柱になっていろいろな動物や植物がこれに呼応して装飾的に展開していったように思われる。

もう一つの想像は、先生が日本画の古典と言うべき作品、特に江戸時代の琳派の作品を徹底的に調査、研究され、それを油彩で現代化したのではなかろうか。

以上二つの想像が互いに前後して、あの個性的で現代的な作品を生み出したと考えられる。更にかどの無い癒しの画風は人柄からにじみ出たものと思う。生まれ乍らか努力かで画家としての崇高な理念を身につけられたと考える。

目的の示唆として纏めると、
1 由緒あるモチーフの発見
2 古典の勉強
3 人柄の醸成
と言うことだろうか。
以上勝手な考えで検討をしてみたが、大変な結果となってしまった。平にご容赦下さい。


2.村上啓一会員 「立見先生個展・・感想」

すばらしい作品群でした。日本の自然や伝承が華やかな画面のなかに沈殿し息づいていると思いました。画風は日本のゴーギャンでした。

日本よりもニューヨークのグリニッジヴィレッジのほうが高い評価を受けるのではないかと思いました。アカデミズムは時代により芸術の桎梏にもなりますが新しい芸術はいつも非アカデミズムから生まれました。

NYでは21世紀の新しい芽吹きとして評価されるのではないかと思いました。 立見先生の作品を中心に有力な日立OB美術会員の作品を含めた日立アーチスト展がニューヨークで開催できれば日立の企業文化の一端を紹介するものになるのではと夢想しました。

マネーゲームのような経済が終焉し本来あるべき人材豊かな企業が評価される時代が到来しつつあるように思います。

 

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