「豚もおだてりゃ・・・」 -井出 勝彦-
昭和二十六年、臼田町(現在佐久市臼田)の中学校で有島生馬を審査委員長とする、第四回長野県展が開催された。当時中学一年生だった私の絵が入選した。
技術担当の教師に「有島先生がお前の絵をほめてたよ」と言われ、有島生馬が何者なのか、その話の真偽も不明のまま、すっかり有頂天になってしまった。
「豚もおだてりゃ木に登る」が如く、絵を描くことが好きになり夢中になって描きだした。以後、高校でも県展に入選、どんどん絵の世界にのめり込んで行った。
美術大学に行く時、「絵描きは親を干し殺す」と反対されたものの、勤め人になることで何とかクリア。定年後に再開して、以来、木に登りっぱなしである。元亀で長生きして、このすばらしい樹上生活を楽しみたいと思っている。
|