「大震災と私の絵」 -源馬 和寿-
先の東日本大震災後、親類も多くまた若き日に学んだ地、東北の惨状に居ても立ってもいられず、長靴、ゴム手袋、食料など一切をリュックに詰め込んで、一ヶ月も経たない被災地へ単独ガレキ撤去のボランティアに出かけた。この時の人脈や出来事が、奇しくも私の絵に少なからぬ影響をしている。
このボランティア活動が縁で、石巻の知人から、震災後の八月に被災地石巻で開催された「青少年のための科学の祭典」のポスター図を依頼され、むろん無償で引き受けた。「辛い震災を乗り越える希望と明るさ」「若者の未来への飛躍」など未来志向の図柄が主催者からのご要望だった。
これまで二〇年も具象絵画一本に漬かってきた私に、何万枚も印刷されるポスター図の制作は冒険でもあったが、貢献したい気持ちの方が勝った。
ここ数年の抽象画への興味が助けにもなり苦戦三ヶ月間の末、完成したポスターは好評だったと聞き安堵した。更にその後、このポスターがキッカケで、被災学生支援の団体から別のポスター図を頼まれた。微力ではあるが、被災地復興にも貢献できる絵という不思議な力を実感している。
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