日立美術会
日立美術会
ホーム コラム イベント アーカイブ 会員募集

美術サロン

私の絵画論 

飛んで、飛んで…シャガールの現代性 - 酒井康彦 -

絵の中に、いろんなものを飛ばしたシャガールは、1887年、ロシアのヴィテブスクのリョースノ村でユダヤ人家庭に生まれた。死は1985年で98歳の長寿をまっとうした。このユダヤ人であることが彼をとことん飛び続ける運命に仕立て上げたのではないか。

ものが人間が、愛する人が飛んでいる絵を見る毎に、歓びだけで、イメージだけで飛んでいるのではない。宙に浮くことの必然性と解放感を覚える。そしてそのことの実体感のないむなしさを感じてしまうのは私だけだろうか。地に足をつけていない絵もある。シャガールの出自に対する関心の深さに驚かされるのである。故郷は?、祖国は?この問いが軽くなり無国籍感が拡がっている現代人にこそ共感を呼ぶ絵ではないか、とも思う。故郷を出て、シャガールはフランスのパリに修業のためいつくことになる。ここで彼は色彩の持つ深い心理性を身につける。身の回りの物や人間を色彩豊かに浮かすようになる。逆説的に言えば、非現実的な表現こそが、彼自身の現実だったのかもしれない。ユダヤ人であることの歴史がそうさせたのだろう。飛びながら、宙に浮きながら、自分の居場所を探していたのだ。だから98年も生きることが必要だったとも言える。シャガールの現代性がここにある。

追記
日立OB美術会では、会員を募集しています。日立本社、日立グループ会社のOBで絵を独学で、サークルで学んでいる方々、大歓迎です。もちろんOB本人の方、そのご家族の方も、男性も女性もどうぞご入会下さい。100名を越す会員がお迎えいたします。みんなで絵を楽しみましょう。特に女性OB・・大歓迎です。
「社ガール」大募集・・・・・・? ん。

 

 日立美術会