私の個展「山田徳太郎展(09年7月22日〜31日)に至るまで」
- 山田徳太郎
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(一)廻り合わせ
「徳さん、絵を描く気があるなら早く始めないと後悔するぞ。日立OB美術会に入れ」と福原さん(初代日立OB 美術会長)に云われて三十数年ぶりの絵描きを水彩で始めた。 十五年前のことである。五年ほど経って福原さんから「水彩を続けるなら専門の先生に就け」と云うお手紙を頂いた。一方その年(一九九九年)秋のOB美術展の打ち上げ会で「ウーン、やっぱり水彩はやめておけ」とも云われた。福原さんはその日の帰途上で倒れられ、3日後に亡くなられた。それ以上お話を伺うことは出来なくなった。
私は水彩画を続けた。かって日立OB 美術会員でもあった木戸完二さんは水彩画の大先輩で、以前は日本水彩画会で活躍され、現在も太平洋美術会員として活躍されている。この木戸さんから「水彩連盟展の懇親会で大原祐行先生と知り合いになった。まだお若いが立派な方だと思う。蘇我で教室を開いておられるそうだ。貴方の住いから近いと思うが・・・・。」という電話が入った。私は全国公募水彩展OHARA第3回から応募出品を始めたが第六回で打ち切りになり、今後は水彩連盟展に応募したいと考えている所だった。早速、千葉市蘇我プラザに大原教室を尋ね、入門させて貰った。そして二〇〇〇年以降毎年水彩連盟展に出品している。
(二)ちばぎんアートギャラリー
日本橋三越の向かいに千葉銀行東京店のビルがあり、その二階にちばぎんアートギャラリーがある。幅十二.五m×奥行五.五mで柱と窓無しの連続壁面、百号で十三、四点は掛けられそうな広さである。木の床で照明も整っている。千葉銀行が千葉県の芸術・文化振興の一助としてプロ、アマを問わず千葉県出身または在住の作家の発展の場として開設したとのことである。使用料は無料。
中堅ベテラン作家、台頭の新進作家が主な出品者であり、とても私のような駆出しがやらせてもらえる場ではないと思っていた。しかし大原先生からお勧めがあり、二年前の水彩連盟展で大マグレにも鈴木信男(準会員最上位)賞を頂いたので決意して申込んだ。幸いにもOKとなり絶好の目標が出現した。しかし、もう若くないから頑張れない。只ボツボツ努力を集積して、ようやく今回の山田徳太郎展に漕ぎ着けることが出来た。
百号七点、八十号五点、五十号一点、三十号三点、十号、SM各一点、計十八点の出品で、三年以内の近作が十三点を占め、千葉銀行広報部の御意向にも沿えた形となった。大原先生には飾付け演出までお世話になって、「田圃を見つめて」というテーマのもと私の絵画の流れ、最近の姿が現実の私の腕以上に表現されたと思う。暑い中を大勢(三二二名)の方に御来場頂き無事終了することが出来た。いくつもの幸運に恵まれ、御好意の集積のお陰である。只々感謝である。(完)
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