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展覧会

リレー随筆 第8回  

なんで貼り絵なの - 近 敏雄 -

展覧会に出展するたびに、何故貼り絵を?とよく質問されるが、水彩には水彩の、油絵には油絵の表現方法があるように、和紙には和紙の表現方法があるに違いない、まして日本の伝統色を文字通り色濃く残している和紙でなければ表現できない絵ができないだろうか、と考えたのが発端である。

貼り絵に使う紙としては、洋紙、和紙に大別できるが、ご存じのように洋紙はパルプを細かく砕き、より均一に平滑な紙をマスプロダクトにすることが役割の製紙方法である。だから紙の色のどこをとっても差が無く、色は彩度が高い。

これに対して和紙は一枚一枚紙漉きの名人、匠が寒中手を切るように冷たい水の中で繊維を大切に仕上げていくため、意識せずとも決して平滑でなく、細かな凸凹、ムラがあるためその陰影による深みのある色が表現される。だから色の鮮やかさを大切にする作家は洋紙を多用し、紙の表情を作品に活かしていきたい作家は和紙をと使い分けてるのではないだろうか。私は、紙漉きの段階で薄く薄く、何層にも重なり合った和紙が醸し出す奥深い色合いと、一枚ごとに異なる和紙の表情に魅了され、最初から和紙を愛用している。

とは言うものの私が貼り絵を始めてから今年で2年半。最初の1年は和紙への無知に自分を反省した期間であった。和紙に水分(糊の)を与えれば伸びるとは頭で理解していても、あんなに伸びるとは夢にも思わなかったし、次に伸びることを予想してカットするとほとんど伸びなかった和紙があったり、せっかくピッタリの色を選ぶと、貼った後、先に貼った紙の色の影響を受けて予想外の色になってしまったり、まったく紙に翻弄された1年であった。紙との格闘はいまだに続いてはいるものの、今では紙自体の繊維のからみ具合、紙質、仕上げ表面加工の状態からある程度の予想が付けられるようになったのは、マア収穫なのかなと思う昨今である。

ところで、紙漉きの現場はやはり後継者不足が問題です。もし私の貼り絵に興味をお持ちになったら、是非にも貼り絵にチャレンジしてください。そうすれば和紙の需要も増えるし、日本の伝統色も命ながらえて後世に伝えていくことができます。・・・・ナンテことを考えながら本日も貼り絵と奮闘中!!!

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